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飛騨山脈のジオのおはなし

第30章 昇神の滝

双六にある昇神の滝

飛騨山脈から流れる双六川は、水がきれいで、夏でも冷たい川です。その支流、井口谷にある滝が「昇神の滝」です。昇神とは、神籬(ひもろぎ)などの臨時斎場で祭祀を執り行う場合、降神の儀で、神様を迎え、昇神の儀で神様を見送るそうです。『ぎふの名瀑名峡』によると、滝の上部は隠洞という地名があり、その昔、神様が、この滝を昇ってお隠れになったという伝説から「昇神の滝」といわれます。
 双六川本流から500メートルほど、井口谷を上がると滝を見ることができます。かつては、双六川本流にあるキャンプ場から遊歩道があったようです。
 滝の落差は、約30メートルで水量もけっこうあります。滝の上部は、上宝火砕流の溶結凝灰岩と呼ばれる岩石で、滝の下部は、花崗閃緑岩と呼ばれる岩石でできています。
 この滝は、2種類の岩石の境にあり、上の硬い岩石が侵食されにくく崖として残るため、その硬さの違いによりできたと考えらます。
上部の上宝火砕流堆積物は、約64万年前、奥飛騨温泉郷の福地南方にあった火口から噴出しました。大量の火砕流堆積物は、その自重と熱さで溶け直して、溶結凝灰岩という岩石になります。道のバラストに使われるように比較的硬い岩石です。
一方、花崗閃緑岩(花崗岩)は、地下深いところでマグマがゆっくり結晶して岩石となったものです。岩石を作る鉱物が大きめで風化しやすい性質があります。ここの花崗閃緑岩は、数億年前にできたものです。風化してもろい岩石になります。実際の滝で、2種類の岩石の違いを見てください。

(飛騨地学研究会 中口清浩)

 

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