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第17章 岩盤から落下した夫婦岩

岩盤から落下した夫婦岩

コラム17章画像上宝町岩井戸は付近の山中に岩屋(岩宿)があり、岩宿が岩井戸に変化したといわれています。この岩屋は笠ヶ岳を再興し槍ヶ岳を開いた播隆上人が修行した場所です。
岩井戸の川原に近いところに高山市の天然記念物の夫婦岩があり、付近には、巨大なれきがたくさん転がっています。これらの巨大れきは、大まかに山裾に近いものと、高原川の中にまで転がったものと二つのグループに分かれるようです。
高原川の川筋は移動を繰り返したのでしょう。夫婦岩の表面は流れる他のれきに磨かれて滑らかになっています。夫婦岩の脇の大きな岩には、社がまつられています。これらの巨大れきは、尾根筋の高みから転がり落ちたもので、落下する様子は壮絶だったでしょう。
 北側の尾根を見ると、中腹と尾根筋近くの二か所に、巨大れきをもたらした岩壁が見えます。岩盤は、上宝火砕流堆積物と呼ばれ、福地温泉近くで64万年前に活動した火山の大規模な火砕流が堆積したものです。高温の火砕流は、溶けた状態に近い火山灰が高い密度で流れます。流れが止まって堆積するとき、再び溶け合って岩盤になります。
 高温の岩盤は冷え固まるときに収縮します。すると、岩盤の内部には互いに引っ張り合う力が生まれ、それによって垂直方向に節理と呼ばれる規則的な割れ目ができ、時には岩石が割れ落ちてしまいます。北側の岩壁は、節理面から外側の岩盤が崩落した跡なのでしょう。
 中腹から落ちたものは山裾に、尾根筋近くから落ちたものは高原川まで転がったと考えられます。
(飛騨地学研究会 直井幹夫)

 
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