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飛騨山脈のジオのおはなし

第31章 岩舟の滝

岩舟の滝

荒城川の中流、丹生川町柏原に諏訪神社があり、神社の隣に岩舟公園があります。ここから、遊歩道を5分ほど歩いたところに、岩舟の滝があります。

遊歩道の坂道を200mほど上った辺りから、道脇に赤茶けた岩石が現れてきます。この岩石は、今からおよそ2億数千万年前の古生代ペルム紀に浅い海で堆積した砂や泥が固まってできた岩石で、飛騨外縁帯構成岩類の森部層といいます。この地層はちょうど滝のすぐ下のところまで分布しています。

岩舟の滝の落差は、およそ20mです。岩壁の上部が大きく前にせり出し、近づくと今にも覆い被さってきそうで圧倒されます。滝を流れ落ちる水の量は少ないですが、侵食により壁面が内側に大きくえぐられ、その凹んだ形が舟の形に似ていることからこの名が付けられたようです。

昔は「白糸の滝」または「不動瀑」と呼ばれていたそうで、滝に打たれてお祈りをすると、眼病や頭痛が治るという言い伝えがあります。岩舟の滝を形作っている大きな岩体は、先ほどの森部層と違い、暗灰色~青灰色の岩肌で、中生代白亜紀後期の約7000万年前頃に大雨見山周辺で起こった火山活動によってできた大雨見山層群の宮谷川層といいます。また、宮谷川層の岩石成分は、流紋岩質といいます。

滝のお堂のすぐ裏手から滝壺にかけて、2つの地層の境界面があります。森部層の上に宮谷川層の溶岩が重なり、溶岩層は、およそ15~20度の角度で滝の左手に(西側に)向かって傾斜しています。
岩舟の滝は、この2つの地層の風化・侵食作用の違いにより形成されたと考えられます。
(飛騨地学研究会 寺門隆治)

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