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飛騨山脈のジオのおはなし

第32章 鼠餅大滝

鼠餅大滝

高原川沿いの国道471号の長倉から対岸の県道89号へ入り、白水谷に沿って上流方向へ。やがて、白水谷に合流する沢上(そうれ)谷に出会います。この谷に架かる橋から30mほど上流に落差20m程度の鼠餅大滝があります。

さて、第7代の飛騨国代官であった長谷川忠崇が徳川吉宗の命で執筆編集した「飛州志」という地誌があります。この飛州志巻之弐国法部に「私呼」という項目があります。地元の人々が古来呼びならわしてきた橋・巌などが記されています。

その中の「私呼滝」に鼠餅滝として、「吉城郡鼠餅村にあり。里人言うにここの山神、馬に乗り滝のあたりを遊行し給う。心地よい滝の響きが聞こえる故に」とあります。鼠餅大滝の響きは、山神様が出かけるほど良いと地元の人々に認識されていたようです。

ちなみに「私呼滝」には、鼠餅大滝を含め御嶽山麓の根尾滝や平湯村の阿房滝など十一の滝しか記してありません。
このあたり一帯には、明ヶ谷溶結凝灰岩層という硬い岩石が分布しています。これは中生代白亜紀の約7千万年前頃、激しい火山活動で噴出、堆積した火砕流堆積物が自身の熱や自重で固結した岩石です。近くの大雨見山を中心とした地域に広く分布しており大雨見山層群と呼ばれています。

なお、この滝は、沢上谷が白水谷に合流するあたりに架かっていますが、前者より後者の谷のほうが水量が多く、河床を侵食する力が強くなっています。この河床侵食力の差で大滝ができたと思われます。
(飛騨地学研究会 下畑五夫)

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