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第11章 槍ヶ岳その1

槍ヶ岳の播隆上人と岩石

コラム11章画像槍ヶ岳は穂高連峰の北端にその名の通り鋭くとがった峰を天に向けています。その穂先に登ろうと考え,最初に実行した人はどのような人だったのでしょうか。
それは江戸時代後期の浄土宗の山岳修行僧,播隆上人です。上人は笠ヶ岳に何度も登るうちに,槍ヶ岳に映るご来迎を見て槍ヶ岳登頂を決意したとされています。ご来迎は今ではブロッケン現象だと考えられています。太陽の反対側の雲に自分の影が投影される時,影のまわりに円状の虹模様ができる現象です。
上人は初登頂の後,村人たちが安全に登頂できるよう鉄鎖を常設することを考え,何度も登りました。上人が病に倒れ現在の美濃太田市で亡くなる年に鎖は設置されました。
この槍ヶ岳の穂先の岩石は穂高連峰の岩稜と同じ溶結凝灰岩の仲間で,凝灰角礫岩という灰色の岩石です。この岩石は熱い火山噴出物が周囲の岩石のかけらを巻き込み火山灰とともに堆積したものでとても硬い性質を持ちます。
穂先の約200m下の槍ヶ岳山荘付近の岩石は槍ヶ岳結晶片岩という別の岩石です。その年代は穂先の岩石に比べずっと古い2億年以上前です。槍ヶ岳結晶片岩は海底に堆積した砂岩や海底に噴出した溶岩(玄武岩)が大きな圧力で押され続けて変質したものです。押され続けるうちに含まれていた鉱物が別の鉱物になり,鉱物は一定方向に並ぶため岩石の表面は縞模様です。
2億年前と言えば恐竜の時代です。そんな古い海底起源の岩石が,今では3000mの雲上にあるのが,改めて不思議に感じられます。
(飛騨地学研究会 鷲見 浩)

 
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