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第21章 平湯大滝

乗鞍岳溶岩流にできた滝

コラム21章画像平湯大滝は日本の名瀑百選、岐阜の名水50選に選ばれている滝です。
 落差六十四mの直瀑は痛快なまでに垂直に水を落とします。その大きな落差で水は飛沫となり瀑風に乗ってあたりに広がります。
 この滝は、南にそびえる乗鞍岳の火山活動によって作り出された滝です。滝のまわりをよく見ると、U字の形をした岩盤が見えます。この岩盤は四万年前に乗鞍の北部、四ッ岳の噴火により流れ出した溶岩なのです。溶岩流の先端は平湯温泉スキー場近くまで到達したようです。
 溶岩の下を見ると、下の地盤との間にすき間ができているのが確認できます。溶岩の下は岩盤ではなく堆積した土砂のようです。
 四ッ岳が噴火するずっと前、三十五万年前から十二万年前にかけて、乗鞍の烏帽子岳を中心に複数の火口を持つ火山活動がありました。この火山は山崩れを起こして、もとのすがたはわからなくなっています。北のほうに向かって崩れた土砂は、このあたりにあった美濃帯と呼ばれる二億年前頃の海底堆積物からなる谷に堆積しました。土砂が浸食され、谷地形になったところへ四ッ岳火山からの溶岩が流れ込んできたのでしょう。
 溶岩の流れの中央部に、四ッ岳周辺に降った雨が寄せ集められて流れ下るようになりました。溶岩も流れる水に浸食されます。平湯温泉スキー場あたりにあった溶岩流の先端部は浸食され、滝はしだいに後ろへ下がり現在の位置までやってきたようです。
 平湯大滝周辺では、遠い海の底で生まれた岩石、乗鞍の山崩れの土砂、四ッ岳の溶岩を見ることができるのです。(飛騨地学研究会 直井幹夫)

 
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